弁護士 秋山亘のコラム

2016.08.08更新

お金の貸し借りと利息の法律相談

(質問)
1 私はある友人に1年間30万円お金を貸すことになりました。この場合、借用書では、どのような点に気をつければいいでしょうか。
2 私は会社を経営している者ですが、私の会社が友人の会社から1000万円をお借りすることになりました。この場合、借用書では、どのような点に気をつければいいでしょうか。
(回答)
1 質問1の回答
 民法では利息の合意がない場合には無利息となるのが原則です。
 個人間のお金の貸し借りの場合にはこの民法の原則が適用されますので、借用書に利息を支払う旨の合意がない場合には無利息の消費貸借契約とみなされます。
 したがって、利息についてもきちんと支払って欲しい場合には、借用書において「本件の利息は年利○%とする」という条項を設けておく必要があります。利息を支払う旨の合意はできていたが、利率の合意まではしていなかったという場合には民事法定利率である年5%とみなされます(民法404条)。
 また、借用書では、返済期限と返済期限を経過しても返済がされない場合の遅延損害金についてもきちんと明記しておいた方がよいでしょう。というのも、遅延損害金の定めがない場合には民法では遅延損害金は年5%とみなされますが、相手方の返済を促す意味でも遅延損害金は10%とか14%など高めに合意するのが通常だからです。
 最後に、借用書において返済期限が書かれていない場合どのように考えるのかですが、民法では返済期限の定めのない消費貸借契約の場合には、貸主は、何時でも借主に返済するよう催告することができ、貸主の催告時から「相当の期間」が経過した時に借主の支払義務が到来するとされております(民法591条1項)。
この「相当の期間」ですが、通常は1週間から1カ月程度と解されております。したがって、借りる側においては返済期限をきちんと明記しておかないと思ったよりも早く返済を迫られることになりますので、注意が必要です。
2 質問2の回答
 商法においては利息の合意がなくとも年6%の利息でお金を貸したものとみなされます(商法513条、514条)。
 本件のように会社間でのお金の貸し借りについてはこの商法の原則が適用されますので、借用書に別段の定めがない場合には、年6%の商事法定利息による消費貸借契約とみなされます。
なお、遅延損害金の利率の定めがない場合には、年6%の商事法定利率が遅延損害金の利率とみなされます。
また、返済期限の定めがない時には貸主は何時でも返済を催告することできることについては民法の場合と同じです。
 近時の金融市場の利率は、比較的低い利率で推移しておりますので、友人の会社間でのお金の貸し借りだからと言って、利息の合意をきちんとしていないと、年6%という予想外の利息を請求されることにもなりかねませんので、借りる方としても利息の利率の合意はきちんとしておいて方がよいでしょう。

投稿者: 弁護士 秋山亘

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