寄与分について教えてください
(質問)
私は、20年間、夫の農業経営を手伝いながら長年連れ添ってきました。夫が5年前に脳梗塞で倒れたあとは、農業経営は私が主に行ってきました。また、夫が脳梗塞で倒れた後は、私が右半身不随の夫を家で介護して参りました。
先月、その夫も亡くなったのですが、夫には、私と結婚する前に前妻との間で設けた子が2人おり、その子が法定相続分として、夫の資産(夫名義の預金・株券等の合計額金3000万円)の4分の1ずつをそれぞれ主張してきました。
前妻の子にも法定相続分があるというのはわかるのですが、私はこれまでに農業経営を手伝ってきたり、夫を一生懸命介護してきたのに、前妻の子は、夫が倒れた後も何もしてくれませんでした。
このような場合でも、法定相続分は、そのまま支払わなければならないのでしょうか。
(回答)
1 遺産の範囲の確定
本件は、まず、夫の遺産の範囲を確定する必要があります。
夫婦で預金をためてきたと言う場兄は、夫名義の預金と言っても、婚姻期間中に蓄えられた預金については、妻と夫の事実上共有財産となっている預金もあると思われます。
従って、本件では、夫名義の資産でも、婚姻期間中に形成されたものとして、夫婦の共有財産となったものはないかを検討する必要があります。共有財産であれば、妻の持ち分については、相続の対象になりませんので、これを控除したものが夫の遺産として相続の対象になります。
2 寄与分の主張
次に、あなたが夫の資産形成やその維持に寄与した場合、寄与分の主張が認められます。
寄与分とは、被相続人の資産に関してその増額及び維持に寄与した相続人に、法定相続分とは別に特別の取り分を与えるという制度です。
本件では、①夫の農業経営を20年間手伝ってきたこと、②脳梗塞で夫が右半身不随になった後も介護してきたことなどの事情が認められますので、裁判所での審判でも夫の遺産の30%程度(900万円=3000万円×0.3)が寄与分として認められる可能性が高いと思います。
そうすると、本件では、下記の計算によって、今回のあなたの具体的な相続分が決まると思われます。
(具体的相続分)
=(3000万円-900万円)×1/2+900万円
=1950万円