マンション管理費の回収方法
(質問)私は現在マンションの管理組合の理事長をしております。現在管理費を長期間滞納者がいて困っています。何か有効な方法はありませんか。また、管理組合は管理会社に管理を委託していますが、管理会社は回収する責任がないのでしょうか。
(回答)多くのマンションで長期滞納者を抱えており、困っています。通常は、裁判をして、判決に基づき差押えをして回収します。
長期滞納者がマンション以外に財産を有していることが分かっている場合は、裁判をし、判決に基づいてその財産を差押えをすることになります。その区分所有者が他の第三者にマンションを貸している場合は、その家賃を差し押さえることができあます。取引銀行が分かっていれば預金を押さえたり、また、給与所得者の場合は一定額の給料を差し押さえることもできます。
ところで、「建物の区分所有等に関する法律」では、管理費や修繕積立金債権については当該区分所有建物やそこに備え付けた動産については、先取(さきどり)特権(とっけん)という担保権があると規定しています。裁判をやらなくても、直接管理費や修繕積立金があることを示す文書(管理規約等)を提出すれば競売ができます。しかし、区分所有建物の競売の申立てをするには、予納金等が80万円以上かかり(後日返ってきます)、余り利用されていないようです。
また、「建物の区分所有等に関する法律」では管理費等を支払わずにそのマンションを売却した場合には、買い主に滞納管理費を払うよう請求ができると定められています。競売で競落した人に対しても請求できます。管理費を長に滞納している人は視力がないことが多く、住宅ローンを抱えていれば、そのうちマンションが競売になることがあります。これを待って、新所有者に支払ってもらうのも一つの方法です。
ところで、管理費の消滅時効は5年です。時効にかかってしまった分は、新所有者が時効の援用をすれば請求ができなくなります。時効が近い場合は、本人から管理費等を滞納していることを認める念書を取るか、裁判をしておくことが必要になります。
管理会社が回収という結果まで責任を負うかということですが、そこまでは責任がありません。通常の取立業務については責任がありますが、任意に支払わない場合は、管理会社としてもやりようがありません。管理会社は、滞納があることを管理組合に通知すれば、その任務を終えます。後は管理組合が裁判などをして回収することになります。管理会社は裁判の原告となることもできませんし、管理組合の代理人となることもできません。