弁護士 秋山亘のコラム

2019.10.28更新

賃貸住宅の原状回復について

 

 

1 原状回復義務の内容

 使用開始当時の状態に復することではない。

 社会通念上通常の使用方法に従って使用した場合、経年変化・通常損耗による損耗したそのままの状態で返還すればよい

2 特約の効力

原状回復義務を超えた修繕義務等を賃借人に負わせた特約(例:クリーニング代)は、通常単に賃貸人の修繕義務を免除する意味しか有せず、特段の事情がない限り原状回復義務義務以上の義務を課するものではないとされている。

 特段の事情=特約の必要性、暴利的でないこと、賃借人が通常の原状回復義務以上の義務を負うことを認識していること

3  問題点

① 通常の使用により生ずる損耗に当たるのか、それとも賃借人の故意過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超える使用かどうかの認定

・家具の設置跡、電気ヤケ、たばこヤケやたばこのヤニ、コーヒーをこぼした跡

②通常使用により発生し、その後の管理等が悪く発生・拡大した損耗をどう考えるか

③ グレードアップの問題(賃借人に補修等をさせた場合、「原状」よりよくなり賃貸人が不当利得をすることにならないか。耐用年数と残存価値)

・フローリングの一部補修、襖紙・障子紙・畳表

④  毀損部分と補修箇所にギャップがある場合、どの範囲まで補修をするのか

・壁等のクロス

4 紛争予防・・・・契約時のチェックリストの作成

5 参考文献   『賃貸住宅の原状回復を巡るトラブル事例とガイドライー敷金返還と原状回復義務ー』(財)不動産適正取引推進機構著(大成出版)

投稿者: 弁護士 秋山亘

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